ウィキメディア財団 年次計画/2024-2025/目標/インフラ

This page is a translated version of the page Wikimedia Foundation Annual Plan/2024-2025/Goals/Infrastructure and the translation is 100% complete.

私たちがウィキメディア財団で行っている仕事には多くの側面があり、「社会技術」エコシステムを支えていると言われています。 そのエコシステム内で、財団は重要な技術サービスを提供し、新製品の設計および発売と、機械学習やインターネットベースの共同作業などの分野で革新を行っています。 目標の「インフラ」に記された取り組みは、これらの分野における来年の主な目標と優先事項の一部を概説しています。

知識をサービスとして進展

ユーザー体験を向上させ、特に確立された編集者や役職者向けのウィキで実施する。指標と報告を強化。

今年の「外部の傾向」の見出しにまとめたように、この作業には次の主な傾向4件がつながっています。

  • 検索:情報が溢れるあまり、消費者は信頼できる人々に集約してもらいたがっている
  • コンテンツ:投稿者はオンラインで知識を共有する、有益で強力な方法を数多く備える
  • 偽情報:コンテンツの真実はこれまで以上に議論の的になり、AI は武器化される
  • 規制:説明責任(コンプライアンス)のニーズが高まり、コミュニティ基本のモデルに対して世界の理解を高める必要がある

技術インフラ更新の重要性は、話し合い:2024でボランティアの皆さんから聞いた話でも繰り返し、強調されました。

これらの主要テーマへの対応は私たちが直面する戦略的課題の核心であり – 一方で私たちのプロジェクトがインターネットの知識インフラにとって「より重要」になりつつあるという矛盾にも対処しながら、他方、インターネット利用者からは「見えにくく」なりました。2023年11月、財団の製品技術最高責任者から提示された重要な質問は、私たちの運動が直面していたものを述べ、どのようにしてウィキペディアとウィキメディアのすべてのプロジェクト群が「多世代」であると保証できますか? 持続可能な未来を確保し、私たちの使命 の「永続的な」部分を達成するには、どうすればよいのでしょうか?

フィードバック募集と協議に数ヵ月を費やした今年は、上記の質問に答える柱を特定して、将来の作業決定や計画を導いていきます。

  • 様相を変えるインタネットを形成。  

過去23年の間に多くのことが変わりました。 私たちは、AI と豊富な経験を活用し、百科事典にふさわしいコンテンツとボランティア活動をインターネットに導入する必要があります。 これは私たちの柱で最も明確に定義されていないものですが、私たちの使命を世界に向けて広げ、実現する場所でもあります。 私たちが投資する実験は、私たちが無償の知識のエコシステムに不可欠なオンラインのインフラとなるという理想の実現を目指しており、 そして、AI がウィキペディアのようなピアツーピアの生産システムをどのようにサポートできるか妨害するか研究に協力し、未来を形作ることが目標です。

  • 『無償』の未来に資金提供する。

私たちは共に、製品戦略と収益の戦略を統一して築き、運動への資金提供を持続させます。 私たちは財団で慈善活動の文化を奨励しており(フィランソロピー)、API を中心とした活動のパートナーとして ウィキメディア・エンタープライズを支えます。寄付者向けの取り組みに的を絞ってウェブサイトやアプリに投資します。私たちは、より持続可能かつ効率的に業務を行うため継続的に追加の方法を探していきます。

  • 何よりも信頼できる百科事典のコンテンツを提供すること。

エコシステム内の偽情報や誤情報、欠落した情報に対処する私たちは、インターネットの基本的な知識の源を有効に保たなければなりません。知識の格差を特定して縮めるツールをボランティアに提供する取り組みを続けます。そして大規模な不正行為に対する包括的なアプローチを開発し、あらゆる言語にわたる百科事典への貢献に対する障壁を克服していきます。 これにはメディアウィキの目的を明確にし、有給職員とボランティア開発者との間の今後の連携を強化する必要があります。 またサポート対象はどのプロジェクトや機能か、また何のサポートを中止するか、厳しい決断を下さなければなりません。

  • ボランティアの成長を促進。これは私たち財団の活動すべての基盤です。その実現のため、複数世代のボランティアを育成します。経験豊富なボランティアにも参加から間もないボランティアにも、次の質問を尋ねる必要があります。

ボランティアをしなければと思う理由はなに?」この重要な質問を念頭に置き、ボランティアの成長や貢献の機会を調整していきます。 最近の一例として「構造化タスク」というものがあり、これは活発に行動する新規加入の編集者を引きつけ、やめずに続ける定着率を伸ばしました。ただし持続可能性を広げ、なおかつ多世代の貢献者と取り組みを進めるには、さらに多くの努力を求められます。 これこそ最優先であり、戦略の転換はここを出発点にしなければなりません。

インフラ:持続可能性と将来を見据えた投資

私たちの技術インフラはウィキメディアのサイトとハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク、さらにデジタル・サービスとしてサービスの基礎となるフレームワークで構成されます。含まれる構成要素はハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク、運用をサポートするホスティングやセキュリティなどのデジタル・サービス、進化する状況に即するプラットフォームの最新化と維持が対象です。以下を含む幅広いコンポーネントが含まれています。 この基盤の上に、デジタル・サービス、アプリケーション、プロセスが構築および運用されます。 これらすべてのニーズに応じるには、持続する投資と将来を見据えた投資の双方に時間を割り当てます。 継続的な投資 の作業を進めるのは、主に独自のシステムを継続的にメンテナンスするニーズであり、それは知識の創造と配布をサポートし、これらは絶えず変化する社会技術システムで発生する事件に対応する必要性に駆られます。 この作業は年間を通じて定期的に発生するため、時間割り当ては永続的で、詳細は以下に説明します。 将来を見据えた投資 は、外部の傾向と組織の優先事項によって決まります。 これらは以下の目標と主な成果(OKR)に記されたとおりです。 製品・技術部門の仕事として、これら両方の分野で優先される事項の理解が含まれます。 そして、最も喫緊の問題解決にリソースの増配の方法、トレードオフを行うか、永続的な課題を解決し、私たちが担当する場のニーズに応えていきます。

今年、私たちがもたらした変化の一つに、これらOKRを財団横断型の他の3つの目標と、より深く結びつけることがあります。 財団全域で連携を深めると、製品および技術の両部門の OKR は、インフラに限定されず他の目標の中にも現れてきます。

技術のインフラを継続する:ウィキメディアのプロジェクト群とボランティアの維持およびサポートに必要な作業

「財団は参加のプロジェクト群から有益な情報を入手しインターネット上に保存して、無償で永久に利用できるようにします。」

製品と技術の両チームは、ウィキのプロジェクト群のメンテナンスとアクセシビリティおよび運用に、恒久的かつ年間を通じて優先的に取り組んでいます。 この重要な作業は、大規模な人気ウェブサイトの開発とホスティングという基礎から始まります。 私たちがウィキのプロジェクト群をホストする複数のデータセンターでは、サーバーとハードウェアの購入から設置と保守まで実施、高速ネットワークを介して相互接続したりインターネットの残りの部分とつながっています。 監視して必要に応じた容量追加や、古くなった設備の更新をします。 一例として、今年はテキサス州キャロルトンのデータセンターの空間を拡張、サーバ機器用の空間と容量を追加し、プロジェクト群のコンテンツとサービスの成長に対応する予定です。

私たちはオープンソース・ソフトウェアを設計および開発しています(特に MediaWiki)。また、多くの既存のオープンソースのサードパーティ製アプリケーション、ライブラリおよびフレームワークを使用し展開します。ソフトウェアの重要なバグは優先的に修正されます。オープンソース・ソフトウェアの保守には、特別な専門知識を持つ人々が実施する高度なスキルの作業が必要で、その範囲はオープンソースのソフトウェア開発、サイト信頼性技術(SRE)、製品管理、プログラム管理、デザイン設計その他があります。財団職員はソフトウェアとシステムを最新の状態に保ち、コードの継続的な最新化などによりセキュリティ修正の恩恵を受け、常に変化する環境に適応できるように努めるあまり、サードパーティ製の新しいソフトウェアとうまく連携することもできます。一例をあげるならソフトウェア言語の更新と古いバージョンの廃止により、機能が正しく動作しなくなります。これを避けるにはコードを更新し、一致させる必要があります。メディアウィキは PHP で書かれており、今年のやることリストの1つに、PHP 7.X から 8.3 への移行があります。更新するとシステムの安全性が高まり、読み込みが速くなり、職員やボランティアの皆さんの作業がより簡単になります。 これは利用者体験の向上と、将来の開発時間の節約の両方をサポート、言語の更新に伴ってセキュリティとパフォーマンス、サポートの改善がもたらされます。

過去1年はグラフ拡張機能が利用できなかったため、セキュリティとスケーラビリティの考慮に関して技術的課題が継続しました。この問題は多くのコミュニティの読者と編集者に波及しました。来年は安全でスケーラブルな新しいサービスを構築し、ウィキで使用する最も一般的なタイプのグラフに対応する予定で、追加の種類のビジュアル化用に拡張可能です。この計画がより明確になるにつれて、私たちはコミュニティの参加者と緊密に協力していきます。

私たちのプロジェクトとコンテンツをインターネット上で永久に利用するには、当財団の各チームがサイトとサービスの可用性を高めに保とう、壊滅的または悪意のあるイベントなど災害からの復旧に多大な労力を費やしています。 私たちは重要なデータを確実にバックアップし、復元もそこからできるようにします。 年に2回、複数のデータセンター間でやりとりするサイト自動切り替え機能をテストし、見つかった問題を修正します。

すべての作業がかなり前から計画されているわけではありません。サイトの停止、セキュリティ報告、セキュリティ事故など、または私たちのプロジェクトに対する大規模な破壊行為攻撃といった予期せぬ出来事や事件にも対応します。 私たちは世界中でパフォーマンスと到達可能性に対する障壁を監視して、見つかった異常を調査します(インターネット接続の問題や検閲ブロックを含む)。 このような予期せぬ出来事や問題の繰り返しパターンによっては、職員は短期のフォローアップ・プロジェクトを優先し、さらなる悪影響を軽減または完全な防止を目的とすることになります。具体的な例としては、次のとおりです。可用性に関する事案として、かつてニュースで注目を集めた有名人の死亡時に発生したパターンは、あらゆるレベルでウィキのプロジェクト群、インフラ、サービスを圧倒しました。 その後、短期間ではあるものの、非常に深刻なトラフィックの急増が発生しました。パフォーマンスの最適化、ボトルネック領域のアーキテクチャの再設計、数年にわたる容量の増加を組み合わせ、最近、私たちのプロジェクト群とインフラは世界的な極端なトラフィックの急増にも問題なく耐えることができました(エリザベス女王の死去など)。 この作業を行うチームは私たちの社会技術インフラの機能に不可欠なオープンソース技術を用いて、月間数十億のページ閲覧数のサポート方法に関して知識を持っています。

将来を見据えた投資:目的と主な成果

製品と技術の両チームは、将来を見据えた投資作業も優先します。これらを「目標と主な成果」(OKR)として共有、その影響は利害関係者や観衆が直接、観察または経験できる成果として構成される傾向があります。 これは、昨年開始した作業ポートフォリオの構成(「バケット」と呼ぶ)の続きです。

私たちは次のバケット3つに投資を優先しました。ウィキ体験、信号とデータ・サービスおよび将来の観衆。これらのバケットを選択した詳しい理由は、昨年の年間計画をご参照ください。ウィキ体験は、サイト上の読者と投稿者の体験に焦点を当て、利用者がウィキ・プロジェクト群やアプリで何を見て、どのような操作を行うのかの取り組みます。 以下の WE1 および WE3 で優先される作業は、検索およびコンテンツの外部の傾向に対応、WE2 はコンテンツと偽情報の傾向に対応し公平性の目標に組み込まれ、WE4 は偽情報の傾向に対応し安全性と整合性の目標に組み込まれています。信号とデータ・サービスは、コンテンツ/メタデータの洞察に焦点を当てています。 私たちのコンテンツとサービスに関する意思決定および/または構造化された方法またはプログラム的な方法でコンテンツと対話すること。 将来の観衆は、新しい聴衆を直接および間接の方法で私たちの運動に招待する方法の実験に焦点を当て、また検索とコンテンツの外部の傾向とも一致します。 それぞれの具体的な目標と主な結果は以下でご覧ください。

次年度に取り組む製品および技術プロジェクトを形作る高レベルの方向性を「目標」とします。意図的に広範であり、私たちの戦略方向性を表していて、そして重要なのは、来年の多くの重点分野の中で優先するのはどの課題か提案している点です。 目標ごとに主な成果がいくつか含まれ、、測定可能な成果を伴います。当該年を通して、チームが作業のために形成する複数の仮説を説明し、四半期ごとに進捗状況を報告します。

これらの目標の源はコミュニティ参加者の皆さんのアイデア類であり、この数ヵ月にわたりメーリング・リストやトークページ、話し合い:2024を介して聞き取ったものに基づいて構築してあり、聞き取りはまた、今後1年にわたる財団の製品および技術戦略を主題としたコミュニティのイベントでも実施されます。 目標の下書きの総覧は以下をご参照ください。

予算計画に関する注記:製品および技術部門全体のリソース配分の推定は、ウィキ体験に 50%、信号とサービスに 30% を割り当てる予定で、残りのうち 15% は製品および技術サービスに提供します。

以下のOKR一覧は製品と技術部門がインフラの目標に向けて行う作業の詳細を示します。


目標公平性