ウィキメディア概報 (2014年3月)
2014年3月のウィキメディア財団報告書およびウィキメディア技報の抄録ほかウィキメディア運動の重要行事について
ウィキメディア財団概報
新ベータ機能:記事プレビューを表示する Hovercard
Hovercard は、ウィキペディアの記事や他のウィキのページの短いプレビューであり、読者がそのページヘのリンクにカーソルを乗せた時に表示されます。プレビューは記事の主要パラグラフと最初の画像からなります。ユーザーは、アカウントにログインして右上の「ベータ版」リンクをクリックすることで、この機能を有効にすることができます。 Hovercard は、英語版ウィキペディアなどの多くのベテランのウィキメディアんにより使われているナビゲーション・ポップアップガジェットに触発され、カジュアルな読者により適したものにするためにこのアイデアを改良しました。
タイポグラフィの刷新: ウィキメディアのサイト上のテキストのための新たなスタイル
3月末に、 ウィキメディアのサイトのデスクトップ版のタイポグラフィに対するアップデートが発表されました。 タイポグラフィの刷新は次の4つの要件に基づいています。1. 可読性、2. 複数のデバイスを越えて一貫したスタイル、3. 多くのプラットフォーム (Mac OS X や、 Windows、 Linux、 そしてモバイルオペレーティングシステム)でtypefacesが利用可能、4. アクセシビリティー (視覚障害を持つ読者であっても)。
最も目立つ変更は、表題が sans-serif フォントの代わりに serif フォントで表示されるようになったことです。他の変更は以下など。テキストカラーが漆黒のかわりに非常に暗い灰色になったが、背景色は純白のままになっています。また、本文のフォントサイズが増大しました。
変更は、利用者のフィードバックに基づく修正を加え、4月の適用が予定されていました。
コミュニティ及びFDCからのフィードバックを得るため公表された年間計画の草案
3月に、財団は、資金配分委員会(FDC)への提案として草案形式で公表するために、2014/15年度計画の準備にとりかかりました。FDC及びコミュニティ精査期間(4月1日から4月30日まで)のフィードバックは検討されますが、計画はまとめられています。FDCの提案の一環として、財団は、WMF職員と請負先がウィキメディアのプロジェクトのサポートにおいて行う新たな進行中の長期的作業の包括的要旨を発表しました。
データと傾向
2月の全世界純訪問者数:
- 4億7400万人 (1月比-4.28%、前年比-1.83%)
- (ウィキメディア財団全事業のcomScoreの数値。3月の数値は翌4月にcomScoreから発表される)
3月のページ要求回数:
- 210.42億回 (2月比+0.2% 、前年比-2.3%)
- (モバイルアクセスを含むがウィキデータ及び ウィキペディアのメインポータルページを除くウィキメディア財団の全事業のサーバーログデータ)
2014年2月の活動中の登録編集者 (5回以上記事名前空間編集/月、ボットを除く):
- 75,958人(1月比-6.80% / 前年比-2.06%)
- (ウィキメディア財団の全事業、データベースのデータ)
通知表(ウィキメディア財団事業に関する様々な統計データと傾向を統合):
(定義)
財務
(決算情報は、本報告の2014年2月時点)
次の決算情報は全て、2014年2月28日時点の月度・年度のもの。
収入 | 39,242,310 |
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支出: | |
技術費 | 10,750,112 |
資金調達費 | 2,739,036 |
助成金授与費 | 1,078,075 |
プログラム費 | 1,205,135 |
助成金 | 3,887,562 |
統制費 | 469,783 |
法務・コミュニティ法的支援・通信費 | 2,425,548 |
財務・人事・運営費 | 4,542,676 |
支出合計 | 27,097,927 |
剰余金合計 | (12,144,383) |
(米ドル) |
- 収入は、当月は予算1万ドルに対し実績107万ドルと、予算を106万ドル(18,244%)ほど上回りました。
- 会計年度内の収入は、予算では4505万米ドルであったのに対し、実績は3924万米ドルで予算を581万米ドル(13%)ほど下回りました。
- 2月度の支出は、予算の441万米ドルに対し、実績は435万ドルとなり、予算を63千ドル(1%)ほど下回りました。主に、人件費及び資本支出、インターネットホスティング、外注サービス費、渡航費への支出の低下によるもので、裁判費用、助成金及び支払処理手数料の高騰が一部を打ち消しています。
- 今年度の支出は、予算の3180万米ドルに対し、実績は2710万ドルとなり、予算を470万米ドル(15%)ほど下回りました。主に、人件費及び資本支出、インターネットホスティング、裁判費用、支払処理手数料、職員開発費、渡航費への支出の低下によるもので、外注サービス費と助成金、採用費の高騰が一部を打ち消しています。
- 手元資金は2014年2月28日時点で5244万米ドルです。
その他のウィキメディア運動の概報
年間画像大賞2013
ウィキメディア・コモンズで行われた「年間画像大賞2013」の投票結果が3月に発表されました。2013年の952枚の秀逸な写真に本賞の受賞資格があります。決選投票では、利用者ら4070人がお気に入りの画像に投票し、参加者数で新たな記録を樹立しました。優勝した画像はドイツのウィキメディアンStefan Krauseによるもので、白熱電球の割れた表面から酸素が入ってきたため、フィラメントが燃えている白熱電球を示す芸術的なイラストです。
ウィキメディア・ロシアがロシアの著作権法を変更
3月12日に、ロシアの民法に対するいくつかの変更が、ウィキメディアのプロジェクトに利益のある法として法制化されました。これらの変更は、ウィキペディアの編集者が自らの著作者権を守りやすくなるフリーライセンスの法的根拠や、公共の場所(ビルや庭園など)に置かれたものに対する風景の自由の規定を含みます。これは、以前削除されざるを得なかったコモンズ上の数百枚の画像の復元を可能にします。ロシアのウィキメディア支部は2009年からこのような変更を主張してきました。