戦略/ウィキメディア運動/2017/よくある質問
基本用語と基礎知識
運動とは?
社会的運動はグループでの行動の一種で、社会的な変化を実行させたり、それに抵抗したり、元に戻させたりするものです。それは非公式な場合もありますが、特定の政治、社会の問題に特化した個人や組織の大きな集まりです。
ウィキメディアのボランティアはこの言葉を、ウィキメディアプロジェクトに貢献している多くのコミュニティやグループ、個人を表すのに使ってきました。ウィキメディアの運動はウィキメディアのサイトやプロジェクトに関わる人々や活動、価値観と定義されてきたのです。
未来を見据えて「より大きな私たち」を思い描く私たち – すべての知識の合計を目指して積極的に活動してきて、現在、この運動に参加するのは私たちだけでしょうか? 他の非営利組織、教育機構、提携団体、あるいは専門家なども含まれています。
戦略とは?
戦略という言葉には、私たちが思い描く将来像や未来を実現する方法ないしは計画という意味をこめています。運動を取り巻く環境と内部のリソースを考慮に入れて長期間にわたって目標と優先順位を決め、また短期計画を評価するガイドでもあります。
ウィキメディア運動全体の戦略的方向性となり、私たちのプロジェクト、グループおよび組織がサポートする人々の集団的利益を認識していきます。2018年から2030年にわたるおよそ13-15年に当てはめ、ローカルの戦略と戦術作りをする人々のガイドになると考えられます。時間の経過と環境の変化につれて評価され、世界の変化に適応していきます。
運動戦略はなぜ、誰のために必要?
まず第一に、深く関わった個人にもウィキメディア財団にも、提携団体にも戦略は最も必要なのです。作業の優先順位付けを支援する基礎として、ウィキメディアが直面する課題とチャンスに応じるために欠かせません。さらに私たちの運動の将来像達成に向け、個人がより一層団結して働くのに役立ちます。
誰がどんな形でその恩恵を受けるのですか?
結局のところ、ウィキメディアの現在の参加者とこれから参加する人、あるいはプロジェクト群を使用中の人、これから使うであろう人は、誰もが対象です。この戦略は私たちがより役に立つグループや個人になるのに役立ちます。また世界で私たちが果たす役割を、運動の関係者がすべて理解するのに役立ちます。もっと多くの人が参加できるように、運動に関わっていない人たちにウィキメディアが続けてきたことを伝える助けをします。
なぜ今、こんなことを行っているのですか?
以前の戦略は2009年から10年に構想し、2010年から2015年に実施しました。そろそろ次の計画と準備をする必要があります。2010-2015年の戦略づくりは共同でしましたが、実行可能な導入計画には結びつきませんでした。ウィキメディア運動は2009年当時から成長し成熟したので、私たちの将来像に合わせるには一緒に仕事をする必要があることが分かってきました。私たちを取り巻く世界もインターネットも本質的に変化し、これまで以上に、自由な知識が重要なのです。
今まであった運動戦略はどうなりますか?
ウィキメディア財団は2009年から、ウィキメディア運動と財団の戦略を構築する5か年計画づくりのプロセスに協力しています。この計画は運動全体の目標を支える財団の活動に焦点をしぼりました。最終的な戦略計画は好評を得ており、財団の活動の多くに影響を及ぼしましたが、運動全体を結んだ多くの作業の協調までには至りませんでした。
これから取り組もうとしている段取りはいくつもの点で異なっています。私たちの目標は詳細な戦略あるいは複数のベンチマークを作るよりも、ウィキメディア運動の進路を築くことにあります。これには私たちが一緒に目指そうとするところの理解が関わります。ウィキメディア財団または特定の提携団体の活動ではなく、運動全体にも焦点を当てて成果を求めます。あるいはまた、以前の2009-10年の事業のほとんどは英語で行われたのに対し、プロセスは多言語で進めます。
プロセス
実施する期間は?
2017年の早い時期にオン・ウィキの協議が始まりました。現在は多くの賛同を得て戦略方針の文書化のプロセスを進め、2017年9月末の完了を目指しています。詳細は工程表のページをご覧ください。
誰が参加できるのですか?
ウィキメディアとそのプロジェクトに関わったり利用したりしている人みんなが歓迎されています。これは編集者、開発者、(現在及び将来の) 読者、関連する組織の人々、運動のパートナー、寄付してくださった方などです。またさまざまな分野の専門家や協力関係を築く可能性のあるパートナーなど、運動にまだ参加していない人や機関も含まれます。議論に参加するには、編集回数の下限は特にありません。オンラインと会合で参加の機会があります。
どのように参加すればよいですか?
提案の支援や、今後の個人的な議論をしやすくするには「参加方法」のページを訪れてください。
多様な意見はどうやって集めますか?
多言語設計によるプロセスは、この種で初の試みです。財団は英語版で用意した国際化アウトリーチは、2009-10年度の運動戦略プロセスをより詳しく反映しており、それに対し18人の経験豊富なコミュニティメンバーを集めて16の異なる母語の言語コミュニティに従事してもらいました(トラックB)。それに加えて提携団体その他の組織(トラック A)、新興地域(トラック D)あるいはウィキペディアとその姉妹プロジェクトの知名度が長年にわたって高い地域(トラックC)にいる、運動の外部の関係者も親身になって支援しています。トラックCとDは既存の運動の範囲を越えて手を差し伸べるため、これらを合わせて「新しい声」と呼んでいます。
影響
私や所属する組織にどんな影響が出るでしょうか?
この協議の結論をどう活かすかあなた次第です。個人や団体によりプログラムや組織に基づく戦略を広めるために使うでしょう。あるいはより大規模な運動に加わる手段と見なし、ウキメディアに貢献するように人を誘うかもしれません。何もしない人がいるとして--それはそれでかまいません!
現実には、これがボランティアがどの活動を発展させるか、参加するか制限するものではありません。もちろんボランティアは関心を持ったり、自分ならウィキメディアに十分に貢献できそうだと確信したりした活動に自由に参加できます。
組織の戦略とどのように関係していますか?
私たちの運動戦略とは、通常は3年から5年単位で組まれた団体の戦略に影響を及ぼす可能性はあるものの、それに取って代わるものではありません。その一例として、ウィキメディア財団は2018年以降もコミュニティと協議しながら、運動方針に沿って組織の戦略を立てます。そしてウィキメディア財団は組織戦略を年次計画作りに役立たせます。
既存の承認とはどのように関わっていますか?
今回の段取りによって財団の助成金の給付契約や要件を変えることはありません。とは言っても、助成金の使い道がこの取り組みに寄与する受給者で関心がある場合は、ぜひプロセスの協議の参加をご検討ください。
People working on the process
どうしてウィキメディアの外部から専門家を雇うのですか?
計画中の協議の進行役が同時に発言者になることは難しいのではないでしょうか。外部から招いた進行役の役割とは皆さんが活発に協議に参加できるようにすることです。それに加えて公平な議事進行に優れていて、また違った視点をもたらすと期待されます。
ウィキメディアの運動に親しんで持ってもらうため、外部からの契約職員は現職のウィキメディア財団の職員と組み、また経験の豊かなボランティアからなる助言者のグループに見守られて働いていただきます。
一度実行された戦略の評価は誰が責任を負うのですか?
戦略的方向性が決定されると、組織化された各グループは独自の組織戦略を作成します。組織化されたグループは第2フェーズの期間に集まり、3-5年で実現したい具体的な目標と作業の役割分担を話し合います。この完成を受けて第2フェーズでは、運動戦略の進行の評価計画を作ります。そのプロセスでは運動戦略の目標と一致するように、一連の測定基準を改訂し確立させます。
予算
どうして運動戦略の策定に250万ドルも必要なのですか?
ウィキメディアのコミュニティは規模が大きくまたタイプがたくさんあり、戦略作りは途方もない作業であって、ボランティアでは担えない専門性や資源に投資が必要です。コンサルタント料や外注費、大きな規模の議論に関わる職員及びボランティアの統括、出張などが対象に含まれます。それに加えてウィキメディアのコンテンツ開発に時間を使いたいと希望されるボランティアの皆さんがしばしば見受けられ、いくつかの業務は代わりの人材を用意して穴埋めすることになります。
比較材料として、前回、運動の戦略を開発した2009年の予算規模はおよそ100万アメリカドルですが、オン・ウィキで英語版に特化せた英語による実施でした。その後、プログラム数、運動の提携団体、また戦略の決定要素は大幅に増加しました。さまざまなオーディエンスから運動全体の協議に関心を持っていただく方策を改善できたと財団は承知しており、実際に皆さんが多言語のコミュニティに関与するお手伝いをするため、必要な資源を増やしました。
250万米ドルはどのように割り当てられますか?
まず財団のキャサリン・メイハー事務長(Katherine Maher)は財団内で個人面談をして、予備的な計画を立案して必要な資源を特定しました。次に事業が有効だったか無効だったか、過去の戦略プロファイルの外部監査(2010年と2014年に加え小規模な取り組み数件)を実施しました。統括部は外部の専門知識から聴衆の研究まで、過去のプロセスで欠けていたものを探し、サポートコミュニティに関与する必要があるメンバーのタイプに関してコミュニティ関与部門の職員他と話し合いました。
これらの対談に基づき担当部署が組んだ予算には次の項目があります。分けへだてのない多言語のコミュニティとの協働。長年の利用者及び新しい利用者を対象にした市場調査の追加。財団外部の専門家や関係者との協議。ウィキメディア会議 (ベルリン) における戦略トラックの協議の開催 (組織化されたグループ及びコミュニティの参加者150名も対象) 。プロセスの運営と製作。
この経費はメイハー事務長より11月の理事会に提出、2016-17会計年度 (2106年7月から 2017年6月) ならびに2017-18会計年度 (2017年7月から2018年6月) にわたって使う経費として同額の予算が承認されました。
250万米ドルはどのように使われますか?
予算の大部分は、この作業を担当する財団職員以外の人材(コンサルタントやコミュニティの請負業者)のほか、ベルリンのウィキメディア会議の個人面談や旅費に当てています。また第2フェーズの活動費(2017年9月以降)がまだ配分されていないことから、資金の一部を保留してあります。